千葉大学 教育学部 野村 純 教授( アジア・アセアン教育研究センター長)の記事が公開されました

グローバル化で日本に居住される海外の方が増え続ける中、海外にルーツを持つ小中学校生も増えています。中には、日本語がまだ十分に話せない生徒もいるようです。できるだけ言葉を使わず絵で説明する、やさしい日本語を使うなど、それぞれの先生が工夫されてなんとか運営している状態です。従来の、生まれてからずっと日本で生活している生徒に対する教育方法からの転換が求められます。

そのような中、千葉大学教育学部では先生の卵である学部生が多文化を理解できるようさまざまなプログラムを開催されています。

今回はアジア・アセアン教育研究センター長でもある 野村純 教授が立ち上げられた「ツインクルプログラム」というひときわユニークなインターンプログラムについておうかがいしました。

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多文化共生に対応できる教育人材の育成を〜ASEAN諸国の高校-大学-大学院 三者協働教育プログラム開発 千葉... 海外にルーツを持つ生徒が珍しくなくなった現代の学校現場では、教師に求められる能力も大きな転換点を迎えている。ま

教育学部生と理系の大学院生各2名がチームになり、理系学生が研究している内容をASEAN諸国の高校生に向けて英語で授業をする、という非常にタフなプログラムです。

もちろん、現地での授業も大変ですが、意外にもチームビルディングが最も苦労するようです。

それはなぜでしょう?同じ日本語を話しているにもかかわらず、話している内容が完全に理系と文系で分かれてしまっているからだと野村教授は分析します。

一見、教育学部生がメインの教員養成プログラムのように見えますが、同じくらい理系学生にとって「専門分野を一般向けにも分かりやすく伝える」という科学コミュニケーション能力を磨く機会でもあるのです。

理系学生は普段、同じ専門分野を研究しているメンバーで構成されている研究室で過ごします。そこでは分かりきっていること、大前提は省かれます。しかし、研究費の申請、クライアントへの研究プレゼンなどでは、省かれてきた部分こそていねいに説明しないと研究の意義をわかってもらえません。

話す相手がどれくらい研究についての知識や興味をもっているか、どんなことなら興味を持ってもらえるかなど、相手の立場に立ったコミュニケーションが理系にも求められます。

さらにツインクルプログラムではASEANの高校生にむけて授業します。その国・学校の知識レベル、関心のあるニュースや自然現象、宗教や政治状況など、より広い配慮が必要です。非常にタフなプログラムであることが、おわかりいただけるかと思います……。

その分、やり遂げたときの達成感は他では味わえないほど深く、リピートする学生も現れたほど。

このプログラムを支えてくれる留学生の存在も忘れられません。ASEANから日本に短期留学に来た留学生が、今度は自国で千葉大学の学生を迎え入れ、授業作りのアドバイスや現地での文化交流を助けてくれるのです。異国の地でがんばる千葉大生にとって、どれほど心強いことでしょうか。このようなしくみを考えられるということは、先生方もいろいろな苦労を乗り越えてきたと想像に難くありません。

記事ではASEANをパートナーに選んだ理由、千葉大学がASEANでの教育で果たすべき役割などについてもじっくりうかがっています。ぜひご覧ください。

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